1.社交界に通用するスマナー、エチケット 宮島ワンダ先生
2.イタリアはヨーロッパの食文化の原点 宮島直機教授
3.食空間の美・美しい空間作りポイント 宮島ワンダ先生
4.プロトコール用テーブル 宮島ワンダ先生
5.イタリアの食文化はトルコ料理と根がおなじ? 宮島直機教授
6.プロトコール・国際儀礼 宮島ワンダ先生
7.ヨーロッパの食文化はイタリアからフランスへ 宮島直機教授
8.南イタリアと北イタリア 宮島直機教授
9.社交の場・サロンの美 宮島ワンダ先生
10.シルバーの知識 宮島ワンダ先生
1.社交界に通用するマナー(個人レベル)、
エチケット(グループレベル) 宮島ワンダ
本号より「ヨーロピアンエッセンスで・魅力ある洋菓子店へ」を再開
します。内容は宮島ワンダ氏(宮島ワンダ教室主催)から正統的なヨーロッパ
の食卓やマナーを、宮島直機氏(中央大学教授)からはイタリアの食文化の
お話をして頂きます。また、お菓子はザ・ジョージアン・クラブに提供して頂きます。
本号では接客の参考にするため、社交の場のマナーについて掲載します。
先ず、エチケットの基本として守らなければならないことは、知らない人を
無視せずに、思いやりをもって接することです。まず、初対面の人には積極的
に接します。自己紹介し、挨拶をして、会話を楽しむことが必要です。店員も
同じように、お客様の気持ちを和やかにする必要があります。素敵な店員と
接すると、お客様は気持ちがよいものです。知らない人が私のことを考えて
くれると、ホッとするし、1日が楽しくなります。着飾っているだけではだめ
です。素敵な会を楽しみましょう。他人に何かいわれても落ち込まず、興味を
持ってもらえたと、プラスに考えるとよいでしょう。
また社交の場には、必ず男性と女性がいます。ビジネスの場では肩書きが
問題になりますが、社交の場では女性と男性の組合わせで人が動きます。この
ため、振舞は女性らしく、男性らしくします。女性らしい振る舞いは、あまり
目立たず、しつこくならないようにすることです。また、男性に色々サービス
してもらいましょう。男性も女性に積極的に声をかけるなどしないとバランス
が悪くなります。
○握手の基本
握手は、女性から手を差し出します。男性から女性に手を差し出しては行け
ません。男性は女性が手を差し出すのを待ちます。また、相手が年上の場合
は、男女に関係なく、年上の者が年下の者に手を差し出します。
○紹介の仕方。まず年下の者を年上の者に、そのあとで年上の者を年下の者
に紹介します。女性に必ず男性を紹介します。
○会話の楽しみ方。色々な話をするためには、多くの情報を持つことが必
要です。名前を聞いただけで終わらないように、お客様に合う話題をあらかじ
め用意しておきます。また、今、流行していることも必要です。私はこれだけ
しか話せない、ではなく、色んな方と接して、幅広く学び、自分を豊かにしま
しょう。
○部屋に入るときのエチケット
先ず入る時は、必ずドアをノックをします。次にドアを閉める時はノブを
持った手を替えて、背中を見せないようにします。
◯テーブルに付くときのエチケット
背筋は常に伸ばして座ります。前かがみにならないように座りましょう。
◎社交の場にかかせないチェックポイント
○ルールをやぶってもゆるされる場合は?相手によります。思いやりの心が
あれば、正式なルールでもやぶってよい場合があります。フィンガーボールの
水は指を洗うためのもので、飲み物ではありません。しかし、イギリスのビク
トリア女王はお客様が知らずに、飲んでしまったとき、ビクトリア女王は注意
するどころか、そっと微笑んで、自分も同じように飲んだといいます。この
ように和やかな場を作るためには、正式なルールをやぶることも必要です。相
手の立場に立って、柔軟性に、対応をしたいものです。
○TPOの意味なんですか。時、場所、状況のことですが、例えば服装
は、夜8時以降なのか、ガラディナーか、ビジネスの集まりか、何の記念日な
のかなどとなって、様々に組み合わせがあります。お誕生日のお菓子の贈り物
にもTPOがあります。
○日常生活のマナーとお出かけ時のマナーは区別しますか。お客様は町中
でも見ています。この時、服そうなどが乱れていれば、店の印象も悪くなりま
す。逆にいつも、自分を素敵に整えておけば、いざという時に困りません。日
常のマナーが最高でなければ、TPOに応じることは出来ません。

◎桜フローマージュ
上記写真のお菓子は桜の季節だったので、桜フロマージュを作っていただきまし
た。本体はブルタニュー産のチーズを使ったフローマージュグラスムース
で、下にはアーモンドパウダーを使ったビスキュイを敷いています。焼き上げ
る際には、酸味を加えるため、すりおろしたレモンの皮を加えました。また、
ムースの中にも桜の風味のゼリーを入れてあります。表面は、桜のリキュール
と桜のペーストを加え、マーブル模様に仕上げたグラサージュです。仕上げの
段階で、水で塩抜きし、ひらかした桜の塩漬けを、表面に並べました。上には
ラズベリーとストロベリー、ブルーベリー、スペアミントを飾り、周りにはホ
ワイトチョコレートを張り付けています。
2.イタリアはヨーロッパの食文化の原点 編 宮島直機

◎ティラミス
ヨーロッパでは、次のような背景から美味しい料理が作られるようになった。
1.北ヨーロッパ11〜12世紀、現在の西ドイツや北フランスあたりで、農業革命が
起り、新しい農業技術が東西南北に広がり、ヨーロッパが発展しはじめた。
具体的な農業技術は、◯三圃制を取り、畑を3つに分けて利用した。冬に蒔いて
夏に収穫する冬麦、初夏に蒔いて秋に収穫する夏麦。終わると連作障害を防
ぐため、休閑し、何も作らず、変わりに糞を肥料にするため家畜を放し飼いに
した。◯ヨーロッパには4種麦があり、それぞれ用途が違う。パンに使う小麦は
冬麦で、寒い場所では作れない。ライ麦は北でも作れるがパンの味は落ちて、茶色に
なる。大麦は食用に適さないので、ビールにする。カラス麦は馬の餌になる。
◯ヨーロッパは粘土質の土なので耕すのが大変だったが、重量有輪犂(重い鉄
の輪が付いた犂)により、馬が4〜6頭で引っ張ることができた。
◯麦を早く効率よく粉ににするため、水車も利用された。鉄を作る時のふいごにも水車が使わ
れた。
◯馬は草原の動物なので
乾燥地帯以外は蹄が割れるため、蹄鉄を
足に付けた。◯縦列繋駕(縦に馬をつなぐ技術)。馬を縦につなぐと力がだすことが
できて、重いものを引ける。ちなみに、馬を縦に6頭つなぐと簡単に方向
転換できないので、なるべく真直ぐ引く。このため、今でも畑の形は細長い。◯肩掛
索網(馬の肩に掛けて引っ張らせるつなぎ方)。大きな輪を肩に当てて引
かせると重い物を引いても首がしまらない。◯旋回荷車(前の車輪が、方向転換でき
る)。方向変える時も四輪の荷車がひっくり返らない。それまでは二輪だったので、
たくさん荷物が乗せられなかった。以上のように物を運ぶ手段が発達し、鉄をたく
さん使った新しい技術が出て来た。ただ、鉄は高価なのでみんな協同購入して協同で
使った。このため村全体がひとつの組織として協同作業しなければならず集村
(郷村)となる。そこで、村をまとめる領主が生まれ、農民は農村協同体を形成し
働いた。また、領主は外敵から農村を守る騎士もつとめた。農業技術が上がると
従来の生産が3?4倍となり、余裕ができたので、農民は騎士の生活を支える
ことができるようになった。北ヨーロッパでは豚と牛を飼って、ラードとバターを
調理に使った。飲み物は大麦をビールにした。農業革命により、鉄が必要となった
が、農村では手に入らない。このため鉄を遠くから運んでくる商人が集まる、
サービスセンターとして都市がヨーロッパの中に出来た。ヨーロッパの都市はこの
時にできたもので、いまある都市のほとんどは、この頃にできたものである。
また、ローマ教皇が独自の政治勢力として登場したことも影響する。それまでは各地
の領主の支配下にあった教会が、教皇のもとに集まって独自の勢力を形成する。農業
革命で生活に余裕ができたので、宗教熱が高まり、聖地巡礼が始まる。
ローマ教皇はイエスが生まれた土地をイスラム教徒から、取り戻すため十字軍を
呼び掛けた。十字軍が動けば人や物も動くから、
ベネチア、ジェノバなどイタリアが都市の繁栄した。このような背景の中、
北イタリアにゲルマン人が入り込み、豚と牛、ビールなどを持ち込んだ。
2.南のヨーロッパ
北ヨーロッパではノルウエーやデンマーク、スウエーデン出身のバイキング
(入江の民)が、ノルマン人(北の民)としてノルマンディにやってきた。ノル
マン人は、北はイギリスを征服し農業技術を広めた。南ではノルマンディーから巡礼
地であるイタリアのモンテガルガーノをノルマン人は目指し、後に南イタリアを征服
する。ノルマンディーで領地を継げなかった人はイギリスや南イタリアに移り住み、
農業技術を広めた。
3.北からスタートしたイタリア統一、南からスタートしたイタリア料理。
イタリアの地は最終的にはトリノの王家であるサボイ家が、北イタリアから
南イタリアを征服し、統一した。ただ、イタリア料理は南からスタートし、北に
上がっていく。もともと、イタリア料理の基本的食材である野菜や果物、パン、
オリーブオイル、ワインはヨーロッパ全域支配したローマ帝国からの伝統であ
る。また、色々な国に支配されたため、他から影響したものが多い。イスラム教徒は
米やさとうきび、レモン、ピスタチオ、絹や綿のもとになる桑を持ち込ん
だ。南イタリアのシチリア王国やナポリ王国もスペイン王国に支配されていたため、
アメリカ大陸からトマトやじゃがいも、なす、たまねぎ、ピーマンなどが
比較的早くから入った。以上のように南イタリアでは食材が豊富だったので、煮込む
などの調理方法もされるようになり、北に広まった。北ヨーロッパでは豚
や牛を油で炒めて塩、胡椒だけで味付し、煮込むことはしない。
◎ティラミス
写真のお菓子は本号のテーマ、イタリアに合わせたティラミス。生クリーム使わず、
マスカルポーネチーズとパータポンプ(砂糖と卵黄を湯せんで泡立てた
もの)にグラニュー糖と卵白で作ったメレンゲを加え、軽めに仕上げました。
シロップはエスプレッソコーヒーとマルサラというワインで出来ています。スポ
ンジにはシロップを限界の量まで染み込ませたいので、12人分の大きいサイズにし
て、スプーンで取り分ける形にしました。表面はココアの粉をふって苦味
を強調しています。上には、半円状のシートに塗って刷毛で波状にしたチョコレート
を飾っています。また、シートにココアを伸ばしてマーブル状にしたホワ
イトチョコレートものせています。ティラミスは普通、上面が真っ平なので動きを
付けてみました。名前の由来は、「ティラ」が「引く」、「ミ」は「私
を」、「ス」は「上げる」、の意味です。直訳すると「私を引き上げて」で、
「これを食べて元気になって」という意味です。
3.食空間の美 宮島ワンダ

白桃とイチジクのタルト
本号では食空間の色についてを掲載します。色は人をリラックスさせたりや食欲を
増進したり、人の精神に大きく影響します。お菓子や店鋪をはじめ、お皿、
ダイニング ルーム、リネン、ティーカップ、カーテンなど食空間の色を考える時は、
次のような組合せを念頭におきましょう。
◎季節の色には、4つの種類があります。
春(スプリング)は菜の花やパンジー、チューリップなどのウォームソフト。
夏(サマー)はあじさい、ラベンダーのクールソフト。
秋(オータム)はすす きや落ち葉、菊などのウォームハード。
冬(ウインター)はクリスマスツリーとポンセチアのクールハードです。
◎季節ごとの色のイメージ
春の色はアイポリーやべージュ、クリーム、ピーチピンクで、カジュアル、
ロマンチック、ナチュラルで、にぎやかなイメージです。
夏の色はブルーグレー,cpプリッシュグレー、ミントグリーンでシンプル、
ロマンチック、ナチュラルで、さっぱりした感じが出ます。
秋の色はベジューやブラウン、オリーブグリーンでハードカジュアル、
エレガント、クラシックで、伝統的なイメージです。
冬の色はホワイトや黒、グレー、ダークグリーンでモダン、エレガントで、
生活感がない感じを与えます。
以上のような春夏秋冬の色の中で、食空間に相応しい色は春と夏です。秋や冬は
あまりおすすめしません。また、暖色はリラックスできます。寒色と暖色を
一緒にしてもかまいませんが組み合わせ方が難しいでしょう。
ヨーロッパの食卓の色には、それぞれ伝統的な意味があります。赤はキリストの血、
グリーンは生命力を表し、プロテスタントのクリスマスカラーです。
カトリックは清らな白で、クリスマスの他に教会や結婚式関係のテーブルにも使われます。
ゴールドは権力の象徴です。西洋の食器には、ゴールドの縁どりが
よく見られます。黄色はこれから春がくるという希望の色、イースターカラーです。
コバルトブルーは心のやすらぎと神の力、宇宙を表現しています。天国とのつながりや、
美しい空間を表現することから、教会のステンドグラスによく見られます。また、
コバルトブルーは色が出しにくいので、値段が高いものでした。このため、西洋食器で
コバルトブルーは評価が高く、すべてのヨーロッパの窯元にみられます。
また、住まいのカラーとしてはベージュをお勧めします。ベージュに囲まれると
リラックスした気持ちになります。ホテルや公式の場に多く、写真にも良く映り
ます。また、後退色や寒色、くすんだ色との組み合わせは広々感がでます。
次に食のカラーテクニックですが、料理と食器の色バランスは、おいしそうに
見えるように組合わせます。赤と緑、茶と黄色などがあります。
暖 色のキャラメルや黄色あると食欲を増進します。写真に撮る場合は赤が入った
ほうがよいでしょう。逆にキャラメルは写真映りがよくないので、ミントやラズベ
リーを上にのせます。有彩色はまとめて、ガラスなどの無彩色のものに乗せると
良いでしょう。有彩色と無彩色は混ぜずに分けることがコツです。また、ピーマン
の赤やオ レンジ、グリーンなど野菜の色は食欲を誘います。ランプなど暖色の
明かりはキャラメル色なので、食欲増進になります。蛍光灯はグレーが入っており、
色空間に合いません。ただ、西洋人と東洋人とでは目の作りが違うので、日本人は
あまり嫌がらないようです。 写真のお菓子はタルト・ペッシュ・エ・フィグ
(白桃とイチジクのタルト)。
土台のパートシュクレには、クレームダマンドが
入っていますが、皮付きの アーモンドのプードルを使い風味を出しています。
酸味をきかせるため、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、すぐりを
使ったジャムを塗りました。
上にのせてある、いちじくは薄い皮なんで手で剥くと実までとれてしまうため、
湯剥きにします。桃は白ワインとシナモン、レモンの皮、バニラ、アニスで香
りつけ、常温で中に浸透させます。次に水分を取り、4等分に切ってのせます。
上にはレモン風味のグラサージュを掛けています。また、ラズベリーとミント
も並べました。飾りの飴細工はドイツ製のパラチニットという砂糖を、180℃で
シロップにしてから、ベーキングシートに流して、刻んだミントを加えま す。
一度、固めてから、オーブンに入れると飴が柔らかくなるので、パレットでならし
ます。パラチニットはグラニュー糖と違い、泣きにくい砂糖です。お皿の縁は
コバルトブルーとゴールドです。 もっと読む
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